理論株価の入門
表題の理論株価について勉強したいと思います.
普段株を買うときに買値はとても意識しますが,売るときの価格を設定したことがありません.
朝香先生の言うとおり,2倍になったら・・・という方法がありますがそこまでいかなそうな銘柄もあります.基本的には2倍どころでとどまらないような成長を信じて疑わない銘柄にのみ投資しているつもりなのですが…それだけではなく1.5倍高の銘柄でも適正価格なのか過剰・過小評価なのかをなんとなくつかむことが出来れば,銘柄の乱高下が起きても血迷った行動に出ず,不安も消えるというものです.要は割安感を評価しましょうということです.
したがって,理論株価を予想するスキルを習得することを足がかりとして,有価証券報告書を読み解く能力を磨き,業績と株価の推移についての勘を養いたいと思います.そしてそのあたりのスキルを使ってある程度の株価水準予想をつくっていけるようにもしたいところです.
先ず言葉の定義から確認します.
理論株価: 本来あるべき株価.実際の企業価値を元に算出する.
目標株価: 業績や経済環境を含めた企業の将来的な価値を元に算出する.
なるほど,どちらも計算方法は数多くあるようです.目標株価って企業の外部の人が言うのは違和感があるのではと感じました.なぜなら,目標に設定したところで何の努力も出来ないのにと思ったからです.しかし,投資家として企業に影響を与えることで目標を達成していくという意味ではむしろ目標株価というほうが投資家として正しいのではと気付きました(笑)目標株価を決算情報で訂正し,現在買っても良いか否かを判断していくというのが理想です.そのためにも先ずは骨格となる理論株価を把握します.
理論株価の計算方式
・グレアム式
・バフェット式
・はっしゃん式
などなど,数え切れないくらいあります.いきなり欲張ってもしょうがないので,シンプルなものから考えていくことにします.また,備考でその都度用語の解説があり,同じ解説が何度も出てきますが,素人なので自分の勉強のためということもあり何回も書いています.ご了承ください.
シンプルな計算方法
ここではまずパラメータの少ないシンプルな計算方法について学びます.
A. EPS・PERから求める方法
必要な指標: 今期予想PER・今期予想EPS
計算式: EPS×PER
データ:【8914】エリアリンク(2017/01/07時点)
今期予想EPS=96.1 [円]
PER=13.39 [年]
計算:
理論株価=96.1×13.39=1287 [円]
備考:
EPS(Earning Per Share)=当期純利益÷発行済株式総数
PER(Price Earning Ratio)=(株価×発行済み株式総数)÷当期純利益 or 株価÷EPS
B. BPS・EPS・PERから求める方法
必要な指標: BPS・今期予想EPS
計算式: BPS+(EPS×PER)
データ:【8914】エリアリンク(2017/01/07時点)
BPS=1233 [円]
今期予想EPS=96.1 [円]
PER=10 [年](一般的なPERの水準を採用)
計算:
理論株価=1233+(96.1×10)=2194 [円]
備考:
EPS(Earning Per Share)=当期純利益÷発行済株式総数
BPS(Book value Per Share)=純資産÷発行済み株式総数
PER(Price Earning Ratio)=(株価×発行済み株式総数)÷当期純利益 or 株価÷EPS
BPS:資産の価値を1株に換算した金額
EPS×PER: 事業の価値を1株に換算した金額
PERは10~20くらいが日本では相場らしいことからPER=10を採用する.
資産の価値+事業の価値で株価を計算している.
C. PERとPBRと企業の成長性から求める方法
必要な指標: 今期予想EPS・来期予想EPS・前期売上高・来期売上高予想
計算式: BPS+今期予想EPS+来期予想EPS+来期予想EPS×(売上成長率+売上成長率の2乗+売上成長率の3乗+売上成長率の4乗)
データ: 【8914】エリアリンク(2017/01/07時点)
BPS=1233 [円]
今期予想EPS=96.1[円]
来期予想EPS=110 [円]
前期売上高=17173 [百万円]
来期売上高予想=19000 [百万円]
計算:
売上成長率=来期売上高予想÷前期売上高=19000÷17173=1.1064 [-]
上記の売上成長率は前期~今期と今期~来期の成長率で2年分なので1年分はその1/2乗の1.0518とします.
理論株価=1233+96.1+110+110×(1.0518+1.0518^2+1.0518^3+1.0518^4)=1939 [円]
ひとまず,これくらいにしておきます.トレーニングとして,四季報を引っ張り出してどれが割安感の指標としていいのか比較してみます.
銘柄を5つルーレットで選び2016新春~2016秋までの四季報4冊のデータからそれぞれの方法で理論株価を計算します.結果の評価は理論株価を活用した投資方法を学ばないといけないので,後日評価します.
計算方法は前述の通り,以下の3つ
A. EPS・PERから求める方法
B. BPS・EPS・PERから求める方法
C. PERとPBRと企業の成長性から求める方法
銘柄ルーレット結果
【6780】なし
【5063】なし
【8539】なし
【9022】東海旅客鉄道
【2205】なし
【2827】なし
【7544】スリーエフ
【9916】なし
【6475】なし
【1103】なし
【1020】なし
【9161】なし
【2544】なし
【1568】なし
【4496】なし
【5521】なし
【3101】東洋紡
【9686】東洋テック
【6779】日本電波工業
ようやく5社選出できました!意外と大変でした(笑)
とりあえずチャートを載せておきます.
【3101】東洋紡
【6779】日本電波工業
【7544】スリーエフ
【9022】東海旅客鉄道
【9686】東洋テック
チャートだけ見るとJR東海と日本電波工業がなかなか良さそうな雰囲気だと思います.
それでは理論株価の計算をしましょう.理論株価の計算結果は以下の通りです.
スリーエフはどう見てもダメなので評価の際は除外しようかと思います.また,後ほど現在保有している銘柄も追加で計算しておきたいと思います.
これを使って売買ルールを設定して理論株価の評価を行っていく訳ですが,その際にはインフレ率や利益の見積もり方などなどを考慮した様々な判断基準があります.
今の私の素人考えだと割安な時は買う,割高な時は売るくらいしか思いつきません.それで計算してもいいのですが,一般的にどんな計算がおすすめなのかは軽く調べてからにしたいと思います.何事も自分でやるのも大切ですが,他人の素晴らしい知識を直ぐに活用できる能力も大切だと思う今日この頃.
それらの勉強をしているといつまでもこの記事を公開出来ないので,ひとまず今回は理論株価の計算方法確認と練習までとしておきます.
基本を学ぶと何を考えなくてはならないかというのが見えてきますね.ただし,調べることが目的ではないので,運用に活かせる効率の良い調査を心がけたいです.ということで,備忘録的なものとして気になるワードを記録しておきたいと思います.
その他気になるワード(備忘録)
PSR / インフレ率 / 企業業績の申告が楽観か悲観か / 業界PER