Kuroyagi飼育日誌

学んだことの備忘録

偏光型マイケルソン干渉計(1)~光源の表現~

基本的な干渉計である偏向型干渉計をJonesベクトルによって表現する方法を考えます.まず,光学素子の構成は以下の通り(片側光路のみ).


光源: 直線偏光(方位角 \alpha=\pi/4)

偏光ビームスプリッタ

1/4波長版

ミラー

1/4波長版

偏光ビームスプリッタ

検出器


[1]光源の表現
Jonesベクトルに入る前に,電磁波の一般的な表現を復習します.z軸方向に進行する平面波の電界成分は,

  \boldsymbol{E}_z\left(z,t\right)
=\begin{pmatrix}
 E_{x} \\
 E_{y} \end
{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
 E_{0x}\mbox{exp}\{i(kz-\omega t+\phi_x) \}\\
 E_{0y}\mbox{exp}\{i(kz-\omega t+\phi_y) \}\end
{pmatrix}

となる.ここで,kは波数,\omegaは電磁波の角周波数,E_{0x}E_{0y}x軸,y軸の電界振幅成分,\phi_x\phi_yは基準となる時刻,位置との各電界振幅のもつ位相差としています.ちなみに,今回は単一波長の電磁波について考え,空間に特に変なことが起きていないとするため,k\omegaE_{0x}E_{0y}において同じとします.よって,行列の外に出せるため,

  \boldsymbol{E}_z\left(z,t\right)=\begin{pmatrix}
 E_{0x}\mbox{exp}(i\phi_x)\\
 E_{0y}\mbox{exp}(i\phi_y)\end
{pmatrix}
\mbox{exp}\{i(kz-\omega t)\}

となります.また,\phi_xを外に出してあげます.これは意味を見出すなら行列内が\phi_xを基準とした位相の扱いとなる感じですかね.このとき,\delta\equiv\phi_{y}-\phi_{x}とするとすっきりします.

  \boldsymbol{E}_z\left(z,t\right)=\begin{pmatrix}
 E_{0x}\\
 E_{0y}\mbox{exp}(i\delta)\end
{pmatrix}
\mbox{exp}\{i(kz-\omega t+\phi_x)

この,行列部分がJonesベクトルです.このままでもいいのですが,電界振幅の大きさとその比率というものがごっちゃになっている状態であるため,それらを分離して考えやすくするため(?)に振幅で規格化します.これを規格化Jonesベクトルと呼び,以下の式となります.

  \boldsymbol{J}\left(\delta\right)
=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{{E_ox}^2+{E_oy}^2}}\begin{pmatrix}
 E_{0x}\\
 E_{0y}\mbox{exp}(i\delta)\end
{pmatrix}

電界成分E_{0x}E_{0y}の方位角を \alphaとすると,

 \mbox{tan}\alpha=\displaystyle\frac{E_{0y}}{E_{0x}}

となります.後々偏光ビームスプリッタでS偏光,P偏光が等量に分割されるモデルを考えるので, \alpha=\pi/4とし,扱いが楽なように\sqrt{{E_{0x}}^2+{E_{0y}}^2}=1という条件を課すと, E_{0x}=E_{0y}={1}/{\sqrt{2}}となります.また,直線偏光ですから,E_{0x}E_{0y}の間に位相差が発生していないため \delta=0となり,

  \boldsymbol{J}\left(0\right)
=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\begin{pmatrix}
 1\\
 1\end
{pmatrix}

とりあえず光源についてはこの辺までとします.